【検査の解説】腹部超音波検査では何がみえるの?【腹部超音波検査を解説】
見えないお腹の中を “やさしくのぞく” 検査
――腹部エコーって、どんなことがわかるの?
「腹部超音波検査(エコー)」――名前を聞くとちょっとお堅い感じがしますが、実はとってもやさしくて、シンプルな検査。
超音波(耳には聞こえない音)を使って、あなたのお腹の中を“そっとのぞく”ことができます。
痛くないし、放射線もゼロ。
赤ちゃんからご年配の方まで、どなたでも安心して受けられます。
私たちの外来でも、お腹の痛みで来られた方や、健診で「肝臓の数値が…」と言われた方など、たくさんの方が受けている、大事な検査です。
さて、何が見えるの? ~腹部の“主要キャスト”紹介~
◆ 肝臓:沈黙の働き者
体の中でもトップクラスに働き者なのに、ほとんど文句を言わない臓器。それが肝臓です。
脂肪肝や肝炎、腫瘍なども、初期にはまったく症状が出ません。
だからこそエコーでの“定期チェック”がとても大切。
脂肪肝なら、生活習慣を見直すことで改善できることもあります!
◆ 胆のう:小さな袋に潜む“石”と“できもの”
胆のうは、胆汁という消化液をためておく場所。
ここに「胆石」や「ポリープ」ができると、何もないときは静かですが、ひとたび暴れだすと大変。
“お腹の時限爆弾”と呼ばれることも。
早めに見つけておけば、トラブルを回避できます!
◆ 膵臓:目立たないけど、超重要な裏方
膵臓は、ちょっと奥に隠れていて見えにくい臓器。
でも、血糖のコントロール(インスリン)や消化のサポートなど、実は大切なことばかりしてくれています。
ここに炎症や腫瘍があると気づきにくく、進行が早いこともあるため、慎重にチェックします。
◆ 小腸・大腸:動きや厚みで“体調”が見える!
腸の中は見えにくいけれど、動きや壁の厚さに異常が出ると、「ん?何かあるぞ?」と察知できます。
虫垂炎(盲腸)も、はれた虫垂がくっきり見えることも。
お腹の中の“にぎやかさ”や“静けさ”で、腸の調子を見ています。
◆ 脾臓(ひぞう):体の“血液管理センター”
あまり目立ちませんが、脾臓は血液のリサイクルや免疫の仕事をしている、縁の下の力持ち。
肝臓にトラブルがあると脾臓も大きくなることがあるので、セットでチェックすることが多いです。
「静かに膨らんでいる」なんてこともあるので、見逃せません。
◆ 腎臓:体の“ろ過フィルター”
左右に1個ずつある腎臓は、血液をきれいにする“お掃除屋さん”。
尿を作る大事な臓器です。
腎臓が腫れていたり、結石(尿路結石)があったりすると、エコーで発見できます。
痛みの原因が「石だった!」なんてこともよくあります。
いつ受けたらいいの? ~気になったら、その時がベストタイミング!
この検査のいいところは、何回でも安心して受けられること。
痛くない・放射線なし・短時間で終わる――三拍子そろった、気軽で頼れる検査です。
- 「脂肪肝がありますね」と言われた方
- 「胆石持ちだけど症状がない」という方
- 「なんだか最近お腹が重たい」
- 「急にズキッと痛くなった!」
――こんなときは、ぜひ一度お腹の中を“のぞいて”みましょう。
その日のうちに原因がわかることも少なくありません。
最後に:あなたのお腹の“つぶやき”を聞くために
お腹って、しゃべれません。でも、ちゃんとサインは出しています。
「なんとなく違和感」「キリキリする感じ」「食欲がない」――
腹部エコーは、そんな“お腹のつぶやき”を拾うための、静かな聴診器です。
「大したことないかも?」と思っても、どうか遠慮せず、お気軽にご相談くださいね。
私たちは、お腹の中で起きている小さな変化を、大切にキャッチしています。